No.003 前田健太、投手〇冠



【広島1―0ヤクルト】今季2度目の完封勝利、そして15勝目。 お立ち台で広島・前田健は「周りのみんなが3冠、3冠というので…。 やっぱりここは、狙います!」と堂々と宣言した。 15勝で初タイトルとなる最多勝はほぼ確定で、防御率2・16も断然のリーグトップ。 奪三振数も166個で1位だ。 まさにリーグを代表する若きエース。 この日も堂々の投球だった。
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今季、カープをエースとして引っ張ってくれた前田健太選手に投手3冠の可能性がでてきました。 下位チームでのタイトル取得は難しい…。 しかし、その環境のなかで3冠を成そうとするのだから、本当に素晴らしい投手なのでしょう。 とりあえず、現在取得するであろうタイトルを見てみましょう。

※これ以降にでてくる記録は、10月1日終了時点のものです。

@最多勝利
シーズンを通して最も多く勝利投手となった選手に与えられるタイトル。
現在のセリーグの勝利数上位の状況は…

1位 15勝 前田健太(広島)   残り1試合
2位 13勝 チェン(中日)     残り0試合
2位 13勝 久保康友(阪神)   残り1試合
2位 13勝 石川雅規(ヤクルト) 残り2試合

上位4名の残り登板数(予想)を考えると、前田の『最多勝利』獲得は確実である。 前田が負けて上位者が全て勝利しても、15勝で並び複数人で最多勝利を獲得する。 石川が2試合登板できるかも疑問なので、単独タイトル取得も可能だと考えられる。 それにしても、チーム順位が5位でありながら15勝するとは凄い。 もし、某読売巨人軍にいたならば20勝は軽くしていたのではないだろうか。 前田が残り1試合を勝利すれば、単独で『最多勝利』獲得は確実である。

A最優秀防御率
規定投球回に達した投手のうち、防御率が最も優秀な(0に近い)選手に与えられるタイトル。
ちなみに防御率の計算方法は『防御率=(自責点÷投球回)×9』である。
現在のセリーグの防御率上位の状況は…

1位 2.16 前田健太(広島)   残り1試合
2位 2.90 チェン(中日)     残り0試合
3位 3.12 久保康友(阪神)   残り1試合

最優秀防御率の取得は、確実といって間違いない。 チェン、久保康友が2.16を下回る可能性はゼロであり、 前田が2.90を上回る為には次回の登板で「1/3回で18失点」する必要があるからである。 まず、そんなこと考えられないし途中で降板させればOKである。 よって、『最優秀防御率』獲得は確実である。

B最多奪三振
シーズンを通して最も奪三振数が多い選手に与えられるタイトル。
現在のセリーグの奪三振数上位の状況は…

1位 166個 前田健太(広島)   残り1試合
2位 155個 村中恭兵(ヤクルト) 残り2試合
3位 152個 チェン(中日)     残り0試合
4位 151個 久保康友(阪神)   残り1試合

奪三振のタイトル争いになるのは…ヤクルトの村中選手。 チェンは残り0試合で無理だし、久保が166個を上回るには残り1試合で「15個」 この15個も、前田が次の登板で「0」個だった場合である。 この3選手が1試合で何個三振を取るのか、今シーズンの奪三振率で考えてみよう。 ちなみに奪三振率の計算方法は『奪三振率=奪三振数×9÷投球回』である。

前田健太 7.15 166個⇒173個
村中恭兵 8.35 155個⇒171個
久保康友 7.35 151個⇒158個

左から「選手名、奪三振率、現在の奪三振数⇒最終奪三振数(予想)」である。
予想として前田健太が個数を上回っているけど、これは計算上のものである。 また9回を投げきった場合のものなので、実際には予想より下回るだろう。 前田健太、村中恭兵の残り登板試合の出来次第でどちらにタイトルが転ぶかわからない。 村中が2試合投げるとしているがこれも予想である。 もし1試合しか登板しなければ前田健太で確実だろう。 勝利、防御率のタイトル取得は確定的なので 今後の試合は奪三振に注目して見てみると面白いだろう。


ここまでで前田健太が『投手3冠』となる可能性が高いことは分かっただろう。
しかし、プロ野球界には『投手4冠、投手5冠』という言葉がある。 投手4冠は上記3タイトルに「最高勝率」を加えたもので、 投手5冠は上記3タイトルに「最高勝率、最多完封」を加えたものである。 現在、セリーグではタイトルとしての「最高勝率、最多完封」はない。 パリーグで「最高勝率」の者は「最優秀投手」のタイトルを得るが、 セリーグにおける「最優秀投手」のタイトルは「ベストナイン」の投手が取得する。 タイトルではないが「最高勝率」と「最多完封」においても考えておこう。

C最高勝率
シーズンを通して勝率が最も高い投手のこと。
現在はタイトルとして表彰されていないが、セ・パとも公式記録上の「勝率1位投手(最高勝率投手)」は選出している(タイトルではないため表彰等は行われない)。
ちなみに勝率の計算方法は『勝率=勝利数÷(勝利数+敗戦数)』である。
現在のセリーグの勝率上位の状況は…

1位 .722(13勝5敗) 久保康友(阪神)   残り1試合
2位 .682(15勝7敗) 前田健太(広島)   残り1試合
3位 .619(13勝8敗) 石川雅規(ヤクルト) 残り2試合

現在のトップは久保康友選手。
我が前田健太選手が2位、石川雅規選手が3位と続きます。
今後の試合数から勝率をランク付けすると、次のようになります。

1位 .736 久保康友 1−1−0
2位 .722 久保康友 1−0−0
3位 .695 前田健太 1−1−0
4位 .684 久保康友 1−0−1
5位 .682 前田健太 1−0−0
6位 .652 前田健太 1−0−1
7位 .652 石川雅規 2−2−0

石川選手が勝率で1位になる確率は、ゼロです。 前田選手が勝率で1位になるには、 「前田が次回登板で勝利、久保が次回登板で敗北すること」が条件です。 久保選手が勝率で1位になるには、「次回登板で勝利すること、もしくは登板せず」が条件です。 久保選手が最高勝率となる可能性が最も高いですが、 前田選手にも可能性はあります。 もし、『最高勝率』というタイトルがあれば久保が登板しない可能性もありますが、 そういったタイトルがない以上、久保が登板し勝利を1つでも増やそうとするはずです。 期待すべきは「前田が次回登板で勝利、久保が次回登板で敗北すること」です。 是非、前田が最高勝率になるようになって欲しいものです。

D最多完封勝利
最多完封勝利とは、1シーズンに記録された完封勝利の最多数、およびその達成者を指す。
タイトルではないが、しばしば投手の五冠の要素に挙げられる。
現在のセリーグの完封勝利数上位の状況は…

3個 館山昌平(ヤクルト)
2個 前田健太(広島)、中田賢一(中日)、チェン(中日)
1個 石川雅規(ヤクルト)、由規(ヤクルト)など14名

最多完封勝利を考える上で、重要だと思われるのがヤクルトのローテーションである。 ヤクルト残り6試合で先発投手をどうローテーションするか、が問題である。 「最多勝利、最多奪三振」タイトル奪取に向けて石川、村中選手は2試合ずつ登板があるだろう。 残りの2試合は館山、由規を使ってくると考えられる。 そう考えると、由規が3個は不可能である。 その他、1個の選手は中日6名は不可能。巨人東野、内海は出れて1試合。 ヤクルト中澤登板なし(予想)。広島青木、ソリアーノは無理。 横浜清水は登録抹消中。 ということで、最多完封数の可能性があるのは「館山、前田、石川」の3選手。 石川が2回登板するには、勝ち投手の権利をつけてすぐ降板だろうから、2連続完封は考えられない。
よって、『館山か次回完封せず、前田が次回完封』すれば最多完封の可能性もあるわけです。

以上、5項目について考えてきました。
結論を言うと

「最多勝利、最優秀防御率」は確実。
「最多奪三振」は前田健太の出来次第。
「最高勝率、最多完封勝利」は前田健太の出来+周り次第。

ということです。 そうとは言っても、前田健太の実力から見て 『最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振』の『3冠』は確実と言っても過言ではないでしょう。 あとは、久保康友&館山昌平の出来次第で『4冠』『5冠』となることを待つのみです。 ちなみに『投手5冠』を達成した選手は歴代7名のみです。
それも「沢村、スタルヒン、藤本、杉下、杉浦、江川、斉藤和巳」と錚錚たるメンバーです。 是非、前田健太もこの中に名を連ねるような大投手になって貰いたいものです。

さて、前田健太は何冠を達成するのか。
残り少ない試合を楽しんで観戦していきましょう!
2010.10.02